こんにちはDeepValley(ディープバレー)の増田です。
ファッション業界で「エシカル」や「サステイナブル」といったキーワードは、既に一過性のトレンドを超えて、企業責任として無視してはいけないものになりつつあります。
大量生産・大量消費が大半を占める国内のアパレル事情の中で消費者は、ネット上を中心に拡散される様々な情報の中から流行や質だけでなく、商品が生産される背景を含めて良質なものを求めるように変化しています。
中でもミレニアル世代以下、ジェネレーションZ世代の若者や、ファッション業界の最先端で活躍する人ほどこの問題に対しての意識が高い傾向にあります。
気候変動や地球温暖化など環境問題についての認識が広がったのは、1992年に国連気候変動枠組条約が成立してからだと言われています。
その為、それ以降に生まれたミレニアル世代以下は、環境問題を幼い時から身近な問題として捉えているのではないでしょうか。
そこで、数ある「エシカル」の中から今日は、“アップサイクル”の動きについて書いていきたいと思います。
アップサイクルという取組みとは
「アップサイクル」とは、サスティナブル(持続可能)なものづくりの新たな方法論のひとつです。
従来から行われてきた、リサイクルやリユース(再循環)とは異なり、古布や廃材など不要品に工夫やデザインを施して別の価値あるものに生まれ変わらせる取り組みの事を差します。
その際、単なる素材の原料化、元の製品よりも次元・価値の高いモノを生み出すことを、最終的な目的としています。
たとえば、日本でも人気のFREITAG(フライタグ)の商品もアップサイクルプロダクトと言えます。
フライタグの創業は1993年、フライタグ兄弟がトラックの幌とシートベルトを利用して耐水性のメッセンジャーバッグをつくったことが始まりだそうです。
廃棄物を利用する目的というよりも、耐久性のある素材としてトラックに使われている幌に着目したそうですが、古くなれば廃棄されてしまう幌を再利用することに新しい価値を見い出し、アップサイクルプロダクトして世界中に広がりをみせました。
アップサイクルの特徴でもあり、魅力ある価値観が、一つずつ模様や質感が異なることです。
このプロダクトも、トラックなどに使われていた大きな幌から素材を切り出すためにそれぞれ製品にした際の表情が違います。
そんなアイデア次第で新たな付加価値をつけることができるアップサイクルは、近年若手クリエイターを中心に今更に広がりを見せています。
アップサイクルの難しさ
アップサイクルの取り組みと言うと、無条件にもてはやされる傾向にあるのですが、アップサイクルでの生産過程は容易ではありません。
例えば再生衣料の場合。
ボロボロになって着られなくなった衣料は、現在の技術においては分解・再生する事も可能となってきています。
しかしこれらの技術で生産される再生素材は相応のコストがかかり、一般的に製造するものに比べて2割から3割、割高になってしまいます。
さらにこの素材の原料となる古着を回収するコストも大きな負担になります。
それらのコストは単純な上代だけで既存の商品と比べてしまうと、どうしても割高に感じてしまうかもしれません。
廃材の場合にも問題点はあります。
再生素材に比べて原料的なコストとしては軽減されますが、視覚的にも剥ぎが多くなってしまったり、汚れなどが気になったりといった懸念があります。
環境に優しい商品だとしても、品質がよくない、デザインがよくない、でも環境に優しいから我慢して買ってくれではビジネスとして成り立つわけがありません。
そうした部分を含め、無駄をなくして環境に優しく、さらに技巧や優雅さを感じられるという全てにおいて、ポジティブなデザインが求められます。
最後に
簡単にではありますが、アップサイクルの取り組み事例と、その難しさを書いてみました。
2018年にPulse of the Fashion Industryが公開したレポートでは、ファッション企業の75%が1年の間に環境と社会貢献に対する活動を向上させているという結果があります。
そういった結果からも、アップサイクルという取り組みを行う、行わないにしても、ファッションビジネスを行う企業にとっては関心を寄せ、自分達に何ができるかを考えるきっかけとしなければいけない事例です。
冒頭でも書きましたが、大量生産で洋服を生産し、大量販売を続けている姿勢は消費者にも受け入れられなくなっています。
洋服の製造方法だけではなく、様々なことが21世紀に入りアップデートされているにも関わらず、消費者へのアプローチは20世紀から変わっていないことに疑問を持たなければならないのではないでしょうか?
今を見直すことこそが、今後の未来へのアップデートに繋がります。
その一つとして、環境への配慮、新たな手法で創造したいと考えるデザイナーや企業は、廃棄物に第二の人生を与えるアップサイクルを次の取組みとして検討してみてはいかがでしょうか?
アップサイクルの取組み・生産がより広まり、効率的に組織化することはファッション業界の未来に希望の一助にもなるのではと私は思います。
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